Ordeals - Third Rail Prayer / LP

アメリカのデス／ブラック・メタル・バンド、Ordealsの1st。2011年に結成されたニューヨーク出身のブラック／デス・メタル・トリオ、Ordealsの2025年フル・アルバム。作品数こそ少ないが、その創作の質と緻密な構築力で他を圧倒してきた。そしてついに、彼らのデビュー・アルバムが登場する。タイトルは不吉な響きを持つ 『Third Rail Prayer』。その歪んだ名の通り、彼らのサウンドはまるで“ベルベットで包まれた鉄拳”のように、陰鬱で病的なブラック／デスメタルを基盤にしながらも、独自のねじれた展開を見せる。確かに Ordeals のサウンドは、旧オーストラリアの荒々しいカルト・ブラックメタルの系譜を思わせる獰猛さと不穏さに満ちている。しかし同時に、その中には静かな荘厳さが潜む。硫黄の炎のように燃え上がる情念的なメロディが、かつてのメロディック・ブラック／デスメタルを想起させる幻想的な光景を描くのだ。だが、その楽曲構築は決して単純ではない。ときに奇妙なリズムや不定形な構造で始まり、あるいは終わることで、狂気が滲み出るような歪んだ陶酔へと発展していく。『Third Rail Prayer』は、まるで生存をかけた闘争のように展開し、秩序の崩壊と再生を繰り返す。混沌の中にも秩序があり、バンドはその緊張を巧みに操る。沈黙のような“闇の空間”を作り出し、そこから圧倒的な重撃へと至る過程は、聴く者の頭蓋を粉砕するような体験だ。フロントマン Zealous Hellspell の咆哮と喉を締め上げるような絶叫は、この狂気の音世界をより白熱した恐怖へと変貌させる。このアルバムは「終末の讃歌」であり、Ordeals という三人の魂が煙のごとく形を得た存在そのものだ。